欧州債務危機は長期化もユーロ相場は反発の可能性

欧州債務危機は長期化もユーロ相場は反発の可能性

2年ぶりのユーロ導入国誕生

 

エストニアが、旧ソ連諸国として初めてユーロを導入した。バルト海に面したエストニアは、2011年1月1日の午前零時に同国通貨クローンをユーロに切り替え、17力国目のユーロ導入国となった。ユーロ導入は、2009年1月1日のスロバキア以来2年ぶりであり、欧州債務危機で混迷するユーロにとっては、久しぶりの明るいニュースと言える。

 

エストニアのユーロ圏に占めるGDPの比率は0.2%(2009年実績)にとどまり、GDP規模ではマルタに次いで2番目の小規模となっている。したがって、ユーロ経済圏の拡大という意味でのインパクトは大きくない。しかし、これだけユーロ圈の状況が厳しいなかでも、欧州小国にとってはなおユーロ導入に大きな意義があるということであり、ユーロ存続にとって強いメッセージ効果が見込まれる。

 

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通貨ユーロによるPIGSの苦悩

2010年は欧州債務危機の拡大により通貨ユーロが大きく下落したが、今後のユーロ相場を占ううえで、やはりポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペインいわゆるPIGS諸国)の債務問題を振り返っておく必要がある。きっかけとなったのはギリシャであり、2009年10月に誕生したギリシャ新政権が、同国の財政赤字の粉飾を明らかにしたというものである。具体的には、ギリシャの2009年の財政赤字(GDP比)見通しを従来の3.7%から12.5%に変更した。その後、ギリシャと同様に財政赤字の大きいアイルランドやポルトガル、スペインに、その影響が感染していったという状況だが、ギリシャとアイルランドについては、すでに欧州見合(EU)と国際通貨基金(IMF)から救済を受けることになった。

 

これまでの歴史を振り返ってみると、ギリシヤやアイルランドのようにソブリン危機からIMFの救済を受けた国は少なくないが、過去のソブリン危機は、通貨危機とほぼ同義であったように思われる。つまり、その国の通貨に懸念が生じ、対外債務の支払いが困難になるという事象である。その場合、一旦は厳しい状況に追い込まれるが、自国通貨の急落によって輸出拡大や観光客増加といったプラス効果もあり、結果として急速に財政収支が改善することが多い。

 

一方で、今回のギリシヤやアイルランドのケースでは、共通通貨ユーロを導入しているため、両国の状況だけでユーロが下落するわけではない。もちろんユーロに悪影響を及ぼしているが、ドイツのように経済が好調な国もあり、ギリシヤやアイルランドが急回復するのに十分なユーロの下落が起きていないという状況である。したがって、ギリシヤやアイルランドを始めとするPIGS諸国の問題が解決するには、過去のソブリンの危機などと比較して、相当
に長い期間が必要となる可能性が高い。

 

実際に、1月4日には米ハーバード大学教授で国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストでもあるケネス・ロゴフ教授が、「欧州は、終息するのに何年もかかる問題に直面している」と述べ、欧州債務危機の影響はこの先何年も続くだろうとの見方を示している。また、2010年12月29日にはブルームパークのコラムニストが2011年の経済予測として、「フランスが、アイルランドやギリシヤ、ポルトガル、スペインとともにもがく年になるだろう」と指摘しており、さらなる欧州債務危機の拡大を見込む専門家も出てきている。

 

 

 

 

 

 

 

 

今週はバーナンキ・米FRB議長の講演とFOMC議事録公表が控えている。 FOMCにおいては、米国の金融正常化に向けた議論がされているかに注目が 集まる。 先月からのFRB要人のタカ派発言を受けて、出口戦略に向けた過剰な期待感が 既に市場に先行して織り込まれている可能性があり、FOMC議事録発表とともに、 過剰な期待感が調整され、一時的にドル売りとなる可能性が考えられる。 しかし、今週木曜日に予定されているECB理事会で利上げが確実視されている 欧州や、引き続き出口戦略に向けて議論が継続される米国と比べて日本の出口戦 略が遅れているため、円が売られやすい地合いは続くと思われる。